90億ドル相当の償還でテザーに注目集まる

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 テラUSD(UST)暴落の余波で、約90億ドル相当が米ドルに償還された人気ステーブルコインのテザー(USDT)が、再び望まない注目を浴びている。

 テザーは、丸め誤差の範囲内で1ドルとペッグされているにもかかわらず、償還が行われた。UTC(協定世界時)19日8時39分、通貨追跡サイトのコインマーケットキャップによると1USDT=0.9989ドル、コインゲッコーによると0.99917ドルで取引されている。

 テラ(LUNA)ネットワークのアルゴリズム型ステーブルコインであるテラUSDの崩壊以来、ユーザーは神経質になっているようだ。テザーは完全に裏付けられていないのではないかといううわさが流れていたこともあり、テラUSDの問題が5月9日に始まった後、神経質になったユーザーはすぐさまこのステーブルコインに打撃を与えた。

 投資分析企業ビアンコ・リサーチの社長ジム・ビアンコ氏は19日、この状況について、DeFi(分散型金融)プラットフォームCurve(CRV)上でのテザーの流動性プールは依然として不安定だとコメント。

 同氏は、「ペッグを崩壊させるほどではないが、テザーが一貫して1ドル弱(約0.998ほど)にとどまり、ダイ(DAI)/USDコイン(USDC)が一貫して1ドル強(1.002ドルほど)にとどまる程度」だと説明している。

 ビアンコ氏によると、テザーが現在経験している規模の償還は、20年春ごろのいわゆる「DeFiの夏」以来、DeFiでは確認されていないという。そのため、多くの人気DeFiプロトコルにとって、大規模な償還は全く新しい状況であるということだ。

 一方で、コンサルタントでありデューク大学ロースクールの上級講師でもあるジョン・リード・スターク氏など、「バーナード・マドフ氏、セラノス社とエンロン社が歌った不吉な歌」に似ているとし、テザーを直接的に批判した人もいる。

 スターク氏は、「私のような元SEC(証券取引委員会)弁護士にとっては、デジャブの再来だ。テザーの裏付け資産の正体は誰も知らない。テザーは『秘密のソースを共有したくない』といって開示しようとしない」とツイートしている。

 注目すべきは、ビットコイン(BTC)開発企業ブロックストリームのアダム・バックCEO(最高経営責任者)など、一部のビットコイン・暗号資産(仮想通貨)分野の著名人らは、このような非難を「間違っている」と指摘していることである。

 バックCEOは、「テザーは額面以下で償還されることはなく、数日で70億ドルを償還した」と主張。同氏は過去にも、各テザーは米ドルと1対1で償還されたとツイッターで発言している。

 初期のビットコインユーザーでコンピュータサイエンティストである同氏は、「報道とは反対に、テザーは全くペッグを崩していない」と述べた。

 暗号資産ヘッジファンドのスリーアロー・キャピタルの共同創設者であるスー・チュー氏や他のアナリストらも、テザーの償還はテザーが裏付けされていないことを証明するものではないと主張している。チュー氏によると、「むしろ、それはテザーが米ドルに規模的に換金可能であることを証明している」という。

(イメージ写真提供:123RF)

https://cryptonews.com/news/tether-spotlight-after-usd-9bn-worth-of-redemptions.htm

This story originally appeared on cryptonews.com.

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