EU機関、議論を呼んだ「非ホスト型ウォレット」規制で暫定合意

eu_130524475_s.jpg

 欧州議会と欧州連合理事会が、暗号資産(仮想通貨)の移動を追跡可能にし、疑わしい取引がブロックされるようにするTFR(資金移動規制)について、暫定的合意に達した。EU(欧州連合)による、より厳しい法執行活動への道が開かれる可能性がある。

 この法案は、EUによる監視をいわゆる「非ホスト型ウォレット」、つまり所有者が管理する通常のウォレットにまで拡大するもので、多くの業界関係者は、欧州におけるこの分野の発展を妨げる可能性がある有害な措置だとしている。

 欧州議会は声明で次のように述べた。

 「この合意は、伝統的な金融において既に存在するいわゆる『トラベルルール』を、暗号資産の移動を含むよう拡大するものだ。このルールは、資産の出所と受取人に関する情報を取引と共に移動し、送金の両当事者が保持することを要求している」

 さらに、この声明では次のように述べられた。

 「CASP(暗号資産サービスプロバイダー)は、マネーロンダリング及びテロ資金供与に関する調査が行われた場合には、監督当局にこの情報を提供するよう義務付けられる」

 両機関の交渉担当者は、EUに拠点を置くCASPが取引できなくなる、不従順で監督下にないCASPの公的登録については、現在交渉中のEUのMiCA(暗号資産市場規制)で対応することで合意した。

 今回の合意では、いわゆる「非ホスト型ウォレット」について、そうしたウォレットから顧客が1000ユーロ(1044ドル)超を送金・着金した場合には、当該CASPはそのウォレットが顧客に実質的に所有・管理されているかどうかを検証する必要がある、と見込んでいる。

 この声明によると、「このルールは、ビットコイン(BTC)取引プラットフォームなどのプロバイダー無しで行われる個人間送金や、プロバイダーが自らのために行うプロバイダー間送金には適用されない」という。

 業界観測筋は、この規制が暗号資産分野に与える潜在的影響について懸念している。しかし、アンストッパブル・ファイナンスで戦略・事業開発責任者を務めるパトリック・ハンセン氏は、この案の下では「ウォレットへの/からの送金の多く」は「検証を必要としない」ので、「欧州議会からの重要な要求(『非ホスト型ウォレットの検証』)はかなり弱められた」と論じた。

 EUの複雑な立法手続きの一環である三者協議とも呼ばれる非公式な三者会談は、欧州諸機関による法案への暫定的合意で完了する可能性がある。これらの合意は非公式なものであり、その後欧州議会、欧州理事会、欧州委員会の3機関でそれぞれ正式に承認される必要がある。

 今回の動きの直前には、EUが専門のAMLA(マネーロンダリング対策機関)を設立する計画を明らかにしていた。欧州理事会の提案の下、同機関は特定の種類の信用・金融機関を直接監督できるようになる予定だ。「リスクが高いと見なされれば」暗号資産サービスプロバイダーもその対象になる。

(イメージ写真提供:123RF)

https://cryptonews.com/news/eu-institutions-reach-provision-agreement-controversial-unhosted-wallets-regulation.htm

This story originally appeared on cryptonews.com.

ランキングページ
ビットコイン詳細ページ
イーサ詳細ページ
XRP詳細ページ
ICOレーティングについて