「暗号資産は金融危機を引き起こす前に禁止すべき」=インド中銀総裁

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 RBI(インド準備銀行)のシャクティカンタ・ダス総裁は、暗号資産(仮想通貨)が次の金融危機の引き金とならないよう、規制ではなく完全に禁止されるべきであるとの考えを示した。

 21日の「ビジネス・スタンダード・BFSIインサイト・サミット」でインドの暗号資産を巡る戦争について質問されたダス総裁は、「戦争などない」と答えた。

 暗号資産をどのように扱うかについては、国によって見解が異なるとし、次のように述べた。

 「われわれの見解では、禁止すべきだ。なぜなら、もし成長を許せば、つまり規制を試み、成長を許せば、どうか私の言葉を覚えておいてほしいのだが、次の金融危機は民間の暗号資産によってもたらされるだろう」

 続けて、「民間の」暗号資産、つまり政府または銀行によって発行されない暗号資産は、国のマクロ経済と金融の安定性に対して「膨大な」固有リスクを有するというのが、RBIの見解であると説明した。ダス総裁は、特にFTXの崩壊など、22年に暗号資産業界で起きた出来事を指摘し、銀行の見解を証明するものだと主張。「われわれの立場についてこれ以上何も言う必要はないと思う」と述べた。

 同総裁は現在も続く22年の市場低迷に言及し、「暗号資産が現在のような価値があることを時間が証明しただけだと考えている」と述べた。

●暗号資産規制に反対する3つのポイント

 ダス総裁によると、暗号資産の規制ついて多くの議論がなされているが、具体的にどのように規制するのかについては、まだ誰も説明していないという。

 これに関して、同総裁は暗号資産とその規制に反対する3つのポイントを挙げた。

1.暗号資産の起源は「システム」を回避し、それに打ち勝つという考え方にある
2.「他の資産とは違い、基礎となる価値がない」上、どのような公共の利益・目的に役に立つのかについて、信頼できる議論が行われていない
3「プライベート(民間)暗号資産という言葉は、100%投機的な活動というものを表現するためのおしゃれな方法である」

●暗号資産ではなく、デジタルマネーが未来

 インドは、ますます増加するCBDC(中央銀行デジタル通貨)に取り組む国の1つである。

 ダス氏はインドのデジタルルピー計画について、一部の中央銀行はすでに実証実験を開始しているが、今後は「デジタル通貨を採用する中央銀行が増える」と考えている。

 同氏は、インドは今世紀のデジタル革命の最前線にいると主張し、次のように続けた。

 「民間の暗号資産との競争を見逃したり、競争を行うことを恐れているのではない。世界がどのように進化していくか、デジタル世界が今後どのように形作られていくか、私たちはそれに備えなければならないと思う」

 報じられている通り、RBIは12月1日にリテール型デジタル通貨の初となる実証実験を実施し、銀行4社(インドステイト銀行、ICICI銀行、イエスバンク、IDFC)が4都市(ムンバイ、ニューデリ、バンガロール、ブバネーシュワル)の実証実験の初期段階に参加すると発表した。バローダ銀行、ユニオンバンク・オブ・インディア、HDFC銀行、コタック・マヒンドラ銀行も後に参加する予定だという。

 実証実験が始まって1週間後の12月7日、RBIの金融政策記者会見でダス氏は次のように述べた。

 「ホールセール型CBDC実証実験の経験は、非常に満足のいくものとなった。技術は概ねうまく機能した。プロセスも概ねうまくいき、市場参加者らは担保が不要であることを非常に喜んでいる。ホールセール型CBDCに関する最初の実証実験のフィードバックは非常に満足のいくものだったが、いくつか学ぶことがあり、それに取り組んでいるところだ」

(イメージ写真提供:123RF)

https://cryptonews.com/news/dont-regulate-ban-crypto-before-it-triggers-financial-crisis-indian-central-bank-head-says.htm

This story originally appeared on cryptonews.com.

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