イングランド銀行と英財務省、国が支援する「デジタルポンド」発行の可能性探る
イングランド銀行（英中央銀行）と英国政府は７日、「デジタルポンド」に向けた協議を正式に開始すると報じられた。
ＰＡ通信によると、国が支援するデジタルポンドの発行が英国で計画されており、「今後１０年で」発行される可能性があるとのこと。英中銀と英財務省は、「ＣＢＤＣ（中央銀行デジタル通貨）を導入する可能性」ためのロードマップを作成すると述べ、これはまだ可能性に過ぎないことを示唆した。
デジタルポンドを発行するかどうかの決断は、まだしばらく先になる。しかし、そのプロセスはすでに始まっている。
協議は約４カ月間にかけて行われ、設計段階は少なくとも２５年まで続く見通し。その後、デジタルポンドについての最終決定が下される。
発行することが決まった場合、導入には多額の投資が必要となる。３０年代に向け、２０年代後半にその判断を下す方針であるという。
報道によると、英中銀と財務省は、現金やカードの使い方に継続的な変化があることから、ＣＢＤＣが「今後必要となる可能性が高い」ことで合意している。これに加え、個人や企業も同様に、ステーブルコインや暗号資産（仮想通貨）に注目するようになってきている。
英中銀のアンドリュー・ベイリー総裁は、次のようにコメントした。
「私たちを取り巻く世界と決済手段がデジタル化される中で、将来におけるデジタルポンドの正当性は高まり続けている。デジタルポンドは、新たな決済手段をもたらし、ビジネスを助け、お金に対する信頼を維持し、金融安定性をより良く守ることになるだろう。しかし、われわれの技術的作業において慎重に検討すべき影響が多くある。今回の協議と当行が今後行う作業は、私たちのお金の使い方について、国が行う重要な決定の基礎となるものだ」
しかしながら、財務省は、ＣＢＤＣは暗号資産ではないということを再度強調している。デジタルポンドは消費を促進するために消費者銀行などの仲介者も関与することになるだろうが、英中銀によって発行・保有される。
また、英中銀が個人および企業が保有できるデジタルポンドの量を制限する可能性もある。
●デジタルポンドに「賛成の声」
英当局者の間では、デジタルポンドを支持する声が多く上がっているようだ。リシ・スナク政権で金融サービス大臣を務めるアンドリュー・グリフィス氏は１０月、ＣＢＤＣの発行延期について警鐘を鳴らし、その遅れが英国経済に問題を引き起こす恐れがあると主張した。
さらに、ジェレミー・ハント財務相は、次のように述べた。
「現金は広く普及しているが、イングランド銀行が発行・支援するデジタルポンドは、信頼性が高く、アクセスしやすく、使いやすい新たな決済手段となり得る。だからこそ、金融安定性の保護を常に確立しながら、まず何が可能なのかを調査したいと考えている」
英中銀の金融安定担当副総裁ジョン・カンリフ氏も、ＣＢＤＣの発行を支持する発言を行っている。同氏は２２年、Ｇ２０のために作成された報告書の中で、「ＣＢＤＣは『白紙の状態』から始める機会をもたらす」と指摘し、「伝統的な技術やプロセスにおける課題の多くを回避する」機会を開くものであると述べた。
英中は、開発作業だけでなく、ＣＢＤＣに関する調査もさらに行っていくとし、一般市民へも協議への参加を呼びかけている。
２１年１０月、優れたデジタルポンドとデジタルマネーエコシステムの導入を支援するための独立フォーラムとして、「デジタルポンド財団」が発足した。同財団は、ＣＢＤＣと民間発行のデジタルマネーの両方を包括するエコシステムの構築を目的に設立された。アバランチやクアント、リップルなどのプロジェクトが、同財団の立ち上げメンバーとして名を連ねている。
一方、英財務省は２月上旬、伝統的金融領域と同様に「暗号資産活動を強固に規制する野心的な計画」を発表する構えだが、暗号資産関連広告に株式と同等の基準を設ける計画からは、今のところは一旦離れる意向であると報じられた。
また、１月の報道にある通り、英ＮＣＡ（英国家犯罪対策庁）も、暗号資産犯罪を調査する法執行官の募集を開始した。政府公式サイトに投稿された求人情報には、「ＮＣＣＵ（国家サイバー犯罪対策ユニット）暗号資産部隊は、専門的な助言やガイダンスで組織をサポートするとともに、英国の対象をターゲットとする適切なツールと能力を備え、暗号資産に関する積極的な任務を担う」と記されている。
（イメージ写真提供：１２３ＲＦ）
This story originally appeared on cryptonews.com.
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