暗号資産のハブ目指す香港、個人向け暗号資産取引計画を推進

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 香港は、世界の暗号資産(仮想通貨)のハブとしての地位を取り戻すため、個人投資家がライセンスを取得した取引所で特定のデジタル通貨を取引できるようにする計画の概要を発表した。

 SFC(香港証券先物委員会)は20日、暗号資産取引所の規制体制案に関する諮問書を公開。この新規制は6月に施行される予定で、すべての暗号資産取引所に対してSFCからライセンスを取得する義務を課すものである。

 SFCは、知識に関するテストやリスク評価、エクスポージャーに関する適正な制限などの保護措置が設けられれば、個人投資家がライセンスを取得した取引所で特定の「時価総額の大きいトークン」を取引することを認めるとした。

 どの大型トークンが認められるかは明確にされていない。しかし、フィナンシャルタイムズは、時価総額が大きい二大暗号資産であるビットコイン(BTC)イーサリアム(ETH)が個人投資家へと解放されるのではないかと報じている。

 SFCは、どの暗号資産の取引が可能になるかについての基準も提示している。取引所は、トークンに関わるチーム、マーケティング資料、法的リスクを審査し、「(トークンのネットワークの)一般的な攻撃に対する抵抗力」を評価する責任を負うことになる。さらに、トークンは比較的時価総額の大きいものでなければならないとしている。

 SFCは、大型暗号資産を「少なくとも2つの独立したインデックス提供企業が発行する少なくとも2つの『適切なインデックス』に含まれる」トークンと定義。そのうち1社は伝統的金融部門での経験があることが望ましいとした。

 注目すべきは、暗号資産取引所が顧客資産の2%以上を「ホットウォレット(オンラインでアクセス可能なウォレットの一種)」に保管しないよう指示されているということ。この種のウォレットはハッキングやフィッシング詐欺に対してより脆弱であるためだ。

●香港、暗号資産の状況改善に伴い態勢変更

 SFCは、18年に初めて暗号資産規制枠組みを導入し、個人投資家による暗号資産取引を禁止した。しかし、同委員会は最初に規制ルールを発表して以来、「暗号資産の状況は大きく変化している」と述べている。

 香港政府はすでに、個人投資家がCME(シカゴマーカンタイル取引所)のビットコイン・イーサリアム先物に投資するETF(上場投資信託)を取引することを認めている。

 さらに、香港は2月、1億200万ドル相当のデジタルグリーンボンド(環境債)を発行。これは、政府が発行する初のトークン化されたグリーンボンドであり、香港政府のブロックチェーンおよびDLT(分散型台帳技術)に対する前向きな姿勢を示している。

 一方、香港の動きはあらゆる暗号資産関連の取引が禁止されている中国本土のものとは対照的である。香港は暗号資産により好意的な規制環境を導入しており、撤退を余儀なくされた中国系Web3企業の中には、安価な中国人技術人材を雇用するために同市に目を向けるところも出てくるかもしれない。

 かつては世界の暗号資産ハブであった香港は、暗号資産規制の曖昧さへの懸念が高まり、シンガポールやドバイなどの暗号資産業界により友好的であるとされる潜在的ライバルが出現する中で、22年半ばにその地位を失い始めた。

 香港法律企業Tanner De Wittのパートナーであるパドレイグ・ウォルシュ氏は9月、「香港が暗号資産と暗号資産関連ビジネスにおいて主導的な地位を占めていた時期があった。今はもうそうではなく、規制がその理由の重要な部分であると思う」と述べていた。

(イメージ写真提供:123RF)

https://cryptonews.com/news/crypto-hub-making-hong-kong-pushes-forward-with-plans-for-retail-crypto-trading.htm

This story originally appeared on cryptonews.com.

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