暗号資産企業がフィデリティなどの資産運用会社に資金移す動き
世界的銀行の相次ぐ破たんを受け、暗号資産(仮想通貨)企業は銀行から資産運用会社へと資金を移しているが、業界関係者はこうした銀行の破たんを暗号資産セクターにおける銀行の終焉とはとらえていない。
銀行業界で起きている混乱は、これまでに米国で暗号資産フレンドリーな銀行であるシルバーゲート、シリコンバレー銀行(SVB)、シグネチャー銀行の3つの大手銀行の破たんをもたらした。
暗号資産業界への被害を軽減するため、一部企業は現在、資金の保管場所と方法について慎重に検討していると、ブルームバーグが14日に報じた。
相次ぐ銀行破たんの影響で、多くの暗号資産企業が新たな銀行パートナーを見つけることが困難になっており、従来の銀行ではなく資産運用会社が業界にとってより魅力的な選択肢となっているということだ。
報道によると、フィデリティ・インベストメンツなどの資産運用会社に助けを求める暗号資産企業が増えている。ある暗号資産業界の幹部は、ここ3日間だけで約25社をフィデリティに紹介したとブルームバーグに語っている。その中には、暗号資産マーケットメーカーや暗号資産業界に特化したベンチャー企業などがあったという。同氏は続けて次のように述べた。
「フィデリティは伝統的な銀行ではないが、ティア2以上の銀行よりは安全なのは確かだ」
●暗号資産は「信じられないほど粘り強い」
暗号資産決済企業FLUUSの創設者兼CEO(最高経営責任者)であるTey El-Rjula氏によると、複数の暗号資産フレンドリーな銀行の破たんは業界に影響を与えるだろうが、それが大きな問題を引き起こす可能性は低いという。
同氏はクリプトニュースに対し、「暗号資産業界が信じられないほど粘り強く、変化する状況に適応する能力を示していることに注目することが重要だ」とコメント。
続けて、多くの金融機関は現在、暗号資産業界向けの新しいタイプのソリューションを開発しており、暗号資産業界が成長するにつれて、新たな暗号資産オンランプが自然と生まれることになるとの見解を示した。
El-Rjula氏は、P2P(ピアツーピア)プラットフォームやDEX(分散型取引所)が成長していることに言及。これは、暗号資産業界が銀行との関係に難しさを感じていたことを考えると、自然な展開と言えるかもしれないと論じた。
「こうしたプラットフォームでは、銀行などの中央集権的な仲介者を必要とせずに、ユーザー同士が直接暗号資産を取引することができる」と同氏は述べた。
●「暗号資産を抑え込む」計画ではない
暗号資産取引所Dexalotの戦略責任者であるバーク・オズドガン氏はクリプトニュースへのコメントの中で、銀行危機が何らかの形で暗号資産を抑制する計画の一部であるという、暗号資産コミュニティの一部が推進しているナラティブに異議を唱えている。
「SVBとシルバーゲート、シグネチャーの閉鎖は金融サービス部門への打撃であるが、『暗号資産を抑え込むための意図的なもの』というナラティブは信じていない」とオズガン氏は述べた。
同氏は、SVBとシグネチャー銀行の両社はWeb3企業よりも「はるかに広い」顧客基盤を持っていたとし、したがってこのナラティブはあまり意味をなさないと指摘した。
しかし、3つの銀行の破たんは、他の銀行が暗号資産業界にサービスを提供するための道を開いたとオズガン氏は主張する。
「より強力なリスク管理手法」を備える銀行が、「卓越し、市場シェアを獲得できるようになった」と同氏は述べた。
(イメージ写真提供:123RF)
This story originally appeared on cryptonews.com.
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