暗号資産取引所ビットレックスが規制環境の厳しさを受けて米国撤退へ
暗号資産(仮想通貨)取引所のビットレックスは、規制圧力の高まりと規制要件の不明確さを理由に米国での事業を閉鎖する。
ビットレックスの共同創設者であるリッチー・ライ氏は31日のブログ投稿で、4月末までに米国での事業を停止すると発表。米国ユーザーは同月14日から同社プラットフォームでの取引ができなくなるとした。
「現在の米国の規制や経済環境で事業を継続することは経済的に不可能である」とライ氏は述べた。
「規制要件はしばしば不明確で、適切な議論や意見がないまま施行される。その結果、競争環境は不公平になっている。米国で事業を行うことはもはや不可能だ」
ライ氏は、すべての資金は安全に保管されており、ただちに引き出すことができると説明している。
3人のアマゾン元社員が14年に設立したビットレックスは、米国を拠点とするペアの暗号資産取引に特化した暗号資産取引所。同取引所は250以上の暗号資産をサポートしている。
ビットレックスが米国での事業を閉鎖した背景として、同社は22年、イランやキューバなどの制裁対象国の顧客が同社のプラットフォームを利用するのを防げなかったとして、OFAC(財務省外国資産管理局)とFinCEN(金融犯罪取締ネットワーク)から5300万の罰金を科されていたことがある。
ビットレックスはニューヨークでも規制の対象となっている。ニューヨーク規制当局はマネーロンダリングの監視や制裁の順守に懸念があるとして、同社に同州での事業停止を命じた。
コインゲッコーのデータによると、ビットレックスの過去24時間における取引量は約1700万ドル。コインベースの取引量が14億ドル、バイナンスが100億ドルであることと比較すると、その差は歴然だ。
●米国の暗号資産取り締まりが激化
米規制当局は、FTXなどの有名暗号資産企業の壊滅的な崩壊を受け、ここ最近で暗号資産に対する監視を強化している。
22年12月、暗号資産貸付業者Nexoは、利回り商品に関して複数の州から停止通告書を受け、米国市場から撤退すると発表した。同社はまた、複数の訴訟を解決するために2250万ドルの支払いに合意した。
同様に、SEC(証券取引委員会)は暗号資産取引所クラーケンと、国内の顧客に対するステーキングサービスあるいはプログラムの提供を停止し、3000万ドルの罰金を支払うことに同意した。
さらに、SECはバイナンスのステーブルコインであるバイナンスUSD(BUSD)を発行する米国企業パクソスに対しても、同トークンの発行を理由に法的措置をちらつかせた。SECは、バイナンスUSDは未登録証券とみなされると主張した。
最近では、SECは米国最大の暗号資産取引所であるコインベースに「ウェルズ通知」を送り、同社に上場する一部の暗号資産やステーキングサービス「コインベース・アーン」、「コインベース・プライム」、「コインベース・ウォレット」に関する法的措置の可能性を示した。
一部の業界専門家は、SECによる敵対的な規制アプローチが、米国の暗号資産業界を国外に追いやる可能性があると警告している。
コインベースのダニエル・サイファート主席弁護士は最近のブログ投稿で、「米国は空白状態を残し、その空白を他国が積極的に埋めようとしている」と語った。「私たちは米国企業であることに誇りを持っている。米国が与えられたチャンスを無駄にするのをだまってみているのは辛い」
(イメージ写真提供:123RF)
This story originally appeared on cryptonews.com.
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