FDICの年次リスク報告書、銀行業の重大な懸念として暗号資産に言及

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 FDIC(米連邦預金保険公社)の23年銀行部門リスク・レビューによると、暗号資産(仮想通貨)は銀行分野に「完全な評価が困難」な「新しい複雑なリスク」を投げかけているという。

 8月に公開されたこのレポートでは、現在銀行が直面している5つのリスク分野の1つとして「暗号資産リスク」が挙げられている。他のリスクは、信用リスク、市場リスク、運営リスク、気候関連金融リスクだった。

 「23年リスク・レビューの新たな項目である暗号資産リスクでは、暗号資産関連の市場と活動を理解し評価するためのFDICのアプローチが論じられている。これらのリスクの監視は、FDICの最優先事項の1つだ」とFDICは記した。

 同機関によると、暗号資産業界の「動的な」性質と「急速なイノベーション」によって、暗号資産リスクの評価は困難なものになり得るという。

 とはいえ、例を挙げると、詐欺、法的不確実性、「誤解を招く」開示の表現、未成熟なリスク管理慣行といったいくつかの重要なリスクは想起される。同機関は次のように付け加えた。

 「一定の暗号資産市場参加者間の相互接続による暗号資産分野内での連鎖リスクの可能性は、暗号資産分野にエクスポージャーを持つ銀行に集中リスクをもたらすかもしれない」

 22年に相次いだ暗号資産業界での破綻を引き起こした重要な要因が、連鎖だ。例えば、22年5月のテラによる巻き戻しは、暗号資産ヘッジファンドのスリー・アローズ・キャピタルの破産に繋がり、セルシウスやボイジャーなどの暗号資産貸付会社もすぐに後に続いた。

 22年のFTXの破綻は、業界全体に衝撃をもたらし、ブロックファイやジェネシスなど、さらに多くの貸付会社が破産を宣言した。

●FDICが語るステーブルコイン・リスク

 FDICは別の問題として、「ステーブルコイン取付」リスクを指摘した。ステーブルコインの準備金を保有する銀行にとって、預金流出の可能性が生じ得るためだ。ステーブルコインとは、米ドルなどの比較的「安定した」資産に連動したブロックチェーンに基づくトークンで、P2P決済や分散型金融で一般的に利用されている。

 FRB(米連邦準備制度理事会)も2月に、暗号資産市場に関する様々な危険について銀行に警告した。FRBはFDICと同様、預金と一定の暗号資産企業との「相互接続」が流動性リスクを生み出す可能性や、ステーブルコインに関連した預金が急な流出に晒される可能性を指摘した。

 とはいえ、元FRBのある政策アナリストは7月にレポートを出し、ステーブルコイン準備金の構成はより厳格なため、ステーブルコインの取付リスクは伝統的な銀行預金よりも低いと主張した。

(イメージ写真提供:123RF)

https://cryptonews.com/news/fdics-annual-risk-report-embraces-crypto-as-significant-banking-concern.htm

This story originally appeared on cryptonews.com.

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