BTCマイナーは収益多様化のため他分野に転換しているとJPモルガンが指摘

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 デジタル資産のマイナーが、収益改善のため、AI(人工知能)企業への強力な技術サービスの提供といった別の事業に移っている。

 JPモルガンの新たなレポートによると、暗号資産(仮想通貨)を基盤とするマイニング企業は、高性能計算などに事業を拡大し、中核事業である暗号資産への依存を減らしている。

 同行は、AIに移行する暗号資産マイナーの数ではビットコイン(BTC)マイナーがリードしているが、イーサリアム(ETH)などの他の資産のマイナーもその数を増していると指摘した。

 イーサリアムがマージによって、ネットワークを保護するためにユーザーが資産をステーキングするPoS(ブルーフ・オブ・ステーク)型ブロックチェーンに移行した結果、マイナーは大金を稼いだハードウェアを二次市場で売却し始め、それによって供給量が増加し、価格が若干下落した。

 多くのマイナーが業界を去ったが、他のマイナーは別のPoW(プルーフ・オブ・ワーク)型資産をマイニングするために機器を残した。しかし、それらはイーサリアムのマイニングほどの収益性はなかった。

 「しかし、時価総額の低さや長期的な存続可能性への疑問から、これらの暗号資産のマイニングは、イーサリアムのマイニングほどの収益性はなかった」

 JPモルガンでアナリストを務めるニコラオス・パニギルツォグルー氏は、AIが、高性能計算への需要によって、イーサリアムの元マイナーに新たな道をもたらしたと主張した。

 「AIの急速な発展による高性能計算への需要の高まりが、かつてイーサリアムのマイニングに使用されていたGPUの新たな、そして恐らくより収益性の高い道を切り開いている」

 一部のマイニング企業は、この多様化の流れに沿って社名を変更している。ライオット・ブロックチェーンはライオット・プラットフォームに、ハイブ・ブロックチェーン・テクノロジーズはハイブ・デジタル・テクノロジーズに名前を変えた。

●ブロックチェーン企業のための新たな経済

 デジタル資産マイニング企業のAIへの移行の重要な要素が、収益性の向上だ。この調査レポートによると、いくつかのマイニング企業は機器の一部を使った企業への高性能計算サービス提供のベータ・テストを行っている。

 これらのテストの結果、AI企業への高性能計算サービスの提供は、ビットコインのマイニングよりも収益性が高いことが示された。ビットコインのほうがエネルギー消費量が高いためだ。

 「ベータ・テストで報告された収益性が大規模に再現できるのであれば、将来的には現在ビットコインのマイニングで得られる収益は見劣りすることになるだろう」と同レポートは記した。

 22年の暗号資産の冬も、収益源の多様化の必要性を引き起こした要因だ。デジタル資産は22年、数年来の安値を記録し、ビットコインやイーサリアムを含む複数の資産が55%超の価値を失った。

 その結果、多くの観測筋が「森の中のマイナー」と呼ぶ状況の中で、多数のマイナーが能力の限界を超え、手元のビットコインを売却し、存続のために新たな収益源に目を向けた。

 23年の市場回復は、資産価格に好影響を与えるSEC(米証券取引委員会)による現物ビットコインETF(上場投資信託)承認の可能性が強く示唆されたことと合わさり、マイナーに新たな命綱をもたらした。

 JPモルガンは7月、「発行報酬が6.25ビットコインから3.125ビットコインに減り、マイナーの収益が減少することで、事実上ビットコインの製造コストが増加するため」、24年の次のビットコイン半減期は業界のストレス・テストになるだろうと記した。

(イメージ写真提供:123RF)

https://cryptonews.com/news/bitcoin-miners-pivot-other-areas-quest-diversify-earnings-jp-morgan.htm

This story originally appeared on cryptonews.com.

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