IMFとFSBの共同報告書、暗号資産の全面禁止に警告

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 FSB(金融安定理事会)およびIMF(国際通貨基金)が公表した共同政策ロードマップは、暗号資産(仮想通貨)の全面禁止に対し警告している。

 インドが主導してG20が委託したこの政策文書では、暗号資産関連リスクに対処するための包括的な規制監督の必要性が強調されている。

 G20に提出される予定のこのIMFとFSBの共同文書は、22年に注目を集めた一連の破綻を受けた、暗号資産業界の世界的基準を確立するための広範な取り組みの一部だ。

 この報告書は、マクロ経済的リスクに対処するため、金融政策の枠組みを強化し、資本フローの変動を管理し、暗号資産に対する明確な税制を確立することの重要性を強調している。

 この報告書は、暗号資産の全面禁止は関連リスクを効果的に緩和しない可能性があるというIMFの姿勢を反映している。

 代わりに、特に新興国にとっては対象を絞った規制が有益な可能性があると示唆している。

 インドなどの国々は、暗号資産の利用の広まりが途上国の金融政策に与える影響に懸念を表明しており、これらの懸念に対処するため、より強力な禁止や具体的な措置を求めている。

●全面禁止は暗号資産活動を違法化する可能性

 この報告書は、全面禁止の実施は、法域内での全ての暗号資産活動を違法にすると主張した。

 さらに、全面禁止は費用が掛かり技術的に困難なだけでなく、暗号資産関連活動が別の国・地域に移ることにつながり、それがさらなるリスクを生み出す可能性があるという。

 「暗号資産に固有のボーダレスな性質により、回避するインセンティブが高まる傾向にあり、財務健全性リスクが高まり非効率性も生じる可能性がある」

 この報告書は、暗号資産に関連したマクロ経済・金融リスクに対する一次的な防衛策となる強固なマクロ経済政策、信頼性のある制度的枠組み、包括的な規制監督の代わりに締め付けを行うべきではないとした。

 「禁止の決定は『楽な選択肢』ではなく、マネーロンダリングおよびテロ資金供与リスクに加え、大規模な資本流出やその他の公共政策の目的などの他の考慮事項の評価に基づくべきだ」とこの報告書は記した。

●IMFおよびFSB、対象を絞った規制を提案

 IMFおよびFSBは、全面禁止は賢明ではないかもしれないが、困難な時期や内部的解決策を模索する間、特定のリスク要因に対処するために対象を絞った一時的な規制を検討することを国・地域に提案した。

 この報告書は、プライバシー・コインに対象を絞ったドバイの措置や、ナイジェリアの銀行の暗号資産企業へのサービス提供禁止など、いくつかの規制例に言及した。

 このロードマップは、別の資産や通貨の価値に連動する暗号資産であるステーブルコインに関する懸念も取り上げている。

 この報告書は、ステーブルコインのまん延が、新興国経済での通貨代替や取付け騒ぎといった脅威をもたらす可能性を警告した。

 外貨建てのステーブルコインが外貨口座より入手しやすく手ごろになれば、急速な資本逃避が生じる可能性があるという。

 この報告書は、多額の資本損失をもたらしたアルゴリズム型ステーブルコインであるテラUSDの22年のデペッグで実証された、安定した価値の維持や民間の発行者への依存に関連したリスクも強調した。

 この共同文書は最後に、G20内での議論が規制当局のデータ要件を助ける可能性があると主張した。

 この文書には、「G20内でのこれらの議論が、暗号資産のデータ要件に関する規制に影響を与え、統計機関と規制当局との協力を促す可能性もある」と記されている。

(イメージ写真提供:123RF)

https://cryptonews.com/news/joint-imf-fsb-report-warns-against-total-crypto-bans.htm

This story originally appeared on cryptonews.com.

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