JPEXのスキャンダルは個人投資家の心理に悪影響

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 香港史上最大の金融詐欺になる可能性があると考えられているJPEXのスキャンダルは、数千人の被害者に損害を与えただけでなく、同地域における暗号資産(仮想通貨)に対する個人投資家の信頼に大きな打撃を与えた。

 アナリストと業界専門家は、このJPEXの大失態が暗号資産企業に大きな課題をもたらし、この分野を拡大しようとする政府の活動を妨げることになると懸念の声を挙げている。

 暗号資産ベンチャー投資家で人工知能スタートアップのドリームワルド・テクノロジーのCBO(最高ビジネス責任者)であるサイラス・イップ氏は、サウスチャイナ・モーニング・ポストに対し、「ウェブ3が何かを人々がまだ完全には理解していない時期に、このJPEXの事件はデジタル資産とウェブ3業界全体に対するネガティブな印象を香港市民に与えた」と語った。

 21年設立のJPEXは、ビジネスや交通の中核地における広範な広告キャンペーンを通じ、個人投資家をターゲットにしていた。

 同取引所は、認可を受けた暗号資産取引所であると自称し、最大20%の高リターンを約束して投資家を誘い込んでいた。

 しかし、同社は先週出金手数料を引き上げ、流動性危機を理由に同プラットフォーム上でのアーン・プログラムの運用を停止した。

 一部のユーザーは当時、出金に999テザー(USDT)の手数料が課されており、出金上限は1000テザーだと主張していた。

 この停止後、JPEX被害者向けのテレグラムのチャット・グループには、1万2600名を超えるメンバーが集まった。

 同取引所は、約14億3000万香港ドル(1億8200万米ドル)の投資に関し、少なくとも2305名の被害者を出した疑いがある。

●JPEXのスキャンダル、個人投資家心理に悪影響

 ダイワ・キャピタル・マーケッツでブロックチェーン及び暗号資産調査の責任者を務めるカールトン・ライ氏は、「現地での存在感が大きく様々な著名人が関与していることを考慮すると、このスキャンダルは個人投資家心理に極めて大きな悪影響を与えると考えられる」と語った。

 これにより、デジタル資産の受け入れを個人投資家に納得させることがより困難となり、政府が推進する可能性があるウェブ3構想に対する抵抗が生じるかもしれない、とドリームワルドのイップ氏は述べた。

 同氏は、これらの山積する課題を受けて、政府は現在のウェブ3推進を減速させるかもしれないと付け加えた。

 香港当局は既に、同取引所への規制上の取り締まりを開始している。

 13日には、JPEXのライセンス状況に関する誤解を招く主張や疑わしい特徴について、SFC(証券先物委員会)が警告を出した。

 その後、JPEXの従業員や同社と関わりを持つインフルエンサーを含む、複数の個人が逮捕された。

 JPEXの宣伝物に出演した俳優のジュリアン・チョン・チーラム氏や女優のジャクリーン・チョン・ソミン氏などの現地の有名人も、警察の取り調べを受けた。

●JPEX、SFCに反論

 JPEXはSFCを非難し、同規制当局が曖昧なガイドラインとでっち上げの罪を提示し、通信事業者に自社プラットフォームをブロックするよう指示していると批判した。

 同社は、SFCが筋の通った交渉や対話を行う努力を怠ったと主張している。

 このJPEXの事件にもかかわらず、アナリストは同業界の長期的な見通しは依然として有望かもしれないと考えている。

 香港のデジタル資産サービス事業者であるVDXでCOO(最高執行責任者)を務めるドナルド・デイ氏は、JPEXに対する最近の法執行活動は、個人投資家を強力に保護する組織的なデジタル資産経済構築に対する香港のコミットメントを実証するものだと述べた。

 デイ氏は、暗号資産に対する個人投資家の関心と信頼は、特に強気相場の場合、時間ともに回復する傾向にあると付け加えた。

 それまでの間、香港政府は「投資家保護に関する新たな規制体制と措置の大衆への周知に、より多くの行動を取る必要がある」だろう。

(イメージ写真提供:123RF)

https://cryptonews.com/news/analysts-believe-jpex-scandal-will-significant-negative-impact-retail-sentiment.htm

This story originally appeared on cryptonews.com.

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