DTCC、ブロックチェーン新興企業のセキュレンシーを買収
米国の証券保管振替機関であるDTCC(ディポジトリー・トラスト&クリアリング・コーポレーション)によるブロックチェーン新興企業セキュレンシーの買収は、資産のトークン化と取引後処理の合理化を大きく推進する。
ブルームバーグの報道によると、DTCCは19日、約5000万ドル相当の取引で、ブロックチェーン新興企業のセキュレンシーの買収に合意した。
この買収は、トークン化されたデジタル資産の取引後処理などの機能のためのサービス及びブロックチェーン技術を広く推進する、DTCCの取り組みの一環だ。
買収取引は今後数週間で完了する見込みで、買収後、セキュレンシーの従業員100名はDTCCに加わることになる。
●ブロックチェーン技術への戦略的移行
DTCCのフランク・ラ・サラCEO(最高経営責任者)はブルームバーグに対し、セキュレンシーの技術によって、DTCCはETF(上場投資信託)などの証券の発行や取引をブロックチェーン・ネットワーク上で行えるようになる可能性があると語った。
ラ・サラ氏は、DTCCは「業界への戦略的インフラ提供者としての役割を担っているため、常に新技術に注目しており、注目しなければならない」と述べた。
この買収は、DTCCによるブロックチェーン及び分散型台帳技術への最大の動きの1つだ。支持者らは、これは複雑な取引後処理を合理化することで金融市場を変える可能性があるとしている。
シティグループのアナリストによる3月の試算によると、23年中に最大5兆ドル相当の伝統的金融資産がトークン化され、ブロックチェーン・ネットワーク上で表現される可能性があるという。
今回の買収後、セキュレンシーはDTCCデジタル・アセッツに改名し、DTCCの経営委員会に加わるセキュレンシーのナディン・チャカールCEOが引き続き同社を率いることになる。
ラ・サラ氏は、金融におけるブロックチェーンの漸進的成熟について、「分散型台帳技術を何に利用でき、何に利用すべきかに関する議論が、過去12カ月間でより地に足がついた冷静なものになった」と述べた。
●ブロックチェーンの複雑さの抑制
近年、大手の銀行や金融機関が、セキュレンシーの技術に似た取引後機能を実行するための独自のブロックチェーン・プラットフォームを構築している。しかし、様々なブロックチェーン・システムは相互運用ができない場合が多いため、これによる作業の重複や複雑さの増大への懸念が生じている。
ラ・サラ氏は、「この業界は、実験的段階を卒業し、どのように協力していくかという段階になっている」と指摘した。
資産のトークン化は取引と取引後の清算を簡素化し、市場のアクセシビリティと流動性を改善できる。このプロセスには、会社の株式などの実世界の資産をブロックチェーン上のデジタル・トークンとして表現することが関わってくる。
例えば、セキュレンシーの技術によって、伝統的な市場インフラではなく分散型台帳上で取引・清算されるトークン化証券としてのETFが作成できる可能性がある。
これにより、資産取引の調整や清算といった、現在の取引後システムの煩雑な側面が合理化される可能性がある。DTCCは、この技術の主流での採用が増加する中、資産トークン化処理で重要な役割を担おうとしているようだ。
(イメージ写真提供:123RF)
This story originally appeared on cryptonews.com.
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