CBDCを使ったホームエクイティ融資と決済の探求

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 23年5月、リップルと富邦銀行は、HKMA(香港金融管理局)の「デジタル香港ドル試験運用プログラム」の一環として、トークン化資産を利用した決済ユースケースを実証する企業として選ばれた。リップルは富邦銀行との提携の中で、香港市民の余った不動産エクイティへのアクセスを合理化することを目指す、HELOC(ホームエクイティ・ライン・オブ・クレジット)試験運用を主導している。この実証実験は、仮想的なデジタル香港ドルの開発にリップルCBDC(中央銀行デジタル通貨)プラットフォームを活用している。

 デジタル香港ドル試験運用プログラムに参加し、リップルと富邦銀行を支援するパートナー企業は次の通り。

・KodeLab:フルサービスのデジタル資産コンサルタント会社で、「エンジニアリング・リスク」、「規制構造」、「プロセス・ミクロ」、「マクロ経済学」という4つの柱に基づき顧客にアドバイスとリソースを提供

・TOKO:成長するトークン化業界の最前線に立ち、今日の資本市場の非効率性を解決する、受賞歴もある規制されたエンドツーエンドの暗号資産(仮想通貨)サービスプラットフォーム

・Hex Trust:プロトコル、財団、金融機関、Web3エコシステムにソリューションを提供する認可済暗号資産カストディアン

・BCW:オンデマンドなデジタルユニバースに接続し、相互作用するWeb3インフラおよび大規模アプリケーションの構築に特化したエンタープライズソリューション企業およびベンチャースタジオ

・ストラトフォード・ファイナンス:(運用・フィンテック・ブロックチェーン・規制アドバイザーである)ストラトフォード・ファイナンスは、新興技術、規制政策、市場環境に関するコンサルティングやアドバイザリーサービスを金融機関やサービスプロバイダーに提供する

 この画期的なソリューションは、決済資産としての仮想的デジタル香港ドルとトークン化された不動産および高度な金融融資プロトコルを組み合わせ、ホームエクイティ融資の可能性を模索することで、テクノロジーを活用して融資業界に革命をもたらしている。

●HELOCの進展を加速:シームレスなオンライン体験

 デジタル革命と伝統的銀行制度の融合により、利用者はシームレスな体験を通じて、使用されずにいる不動産の価値を引き出すことができる。

 提案されているソリューションでは、富邦銀行とリップル、そしてパートナー企業は、香港市民に画期的なHELOC試験運用プロジェクトを提供するため、最先端の技術を採用している。この革新的なプロセスではまず、富邦銀行は堅牢なマルチシグ機能で強化された台帳によってサポートされている仮想的なデジタル香港ドルを鋳造する。

1.融資申請:概念実証では、HELOC機能への模擬アクセス権が銀行アプリを通じて顧客に付与される。承認後、仮想的デジタル香港ドルウォレットが自動的に作成され、トークン化された不動産抵当権が利用者に割り当てられる。この抵当権トークンはその後、融資プロトコルに転送され、これにより支払い手続きが円滑化される。

2.柔軟な資金引き出し:概念実験では、利用者はウォレットへのリアルタイムなアクセスが可能で、デジタル香港ドルを24時間365日管理することができる。

3.シームレスな返済:概念実証では、返済はリアルタイムかつ透明性のある方法で利子計算を行いながら、利用者の裁量で、または自動化機能を使って実行される。返済は優先的に行われ、それにより金融安全性が強化される。

4.融資の終了:概念実証では、完済後、利用者は融資を終了し、抵当権トークンを銀行ウォレットに戻し、再び利用することができる。

●資産決済に仮想的デジタル香港ドル・CBDCを利用するメリット

 仮想的デジタル香港ドルをHELOCに統合することで、多くの利点がもたらされる。利用者は、迅速な融資承認と24時間365日のアクセスを提供するオンラインプラットフォームから利益を享受することができる。また、LVR(ローン資産価値比率)、利用可能資金、利息発生に関するリアルタイムデータにより、透明性と管理権を確保することができる。

 運用面では、エンドツーエンドの暗号化により効率を高め、監査可能な記録を保証し、手作業を減らし、リアルタイムでの報告を可能にする。

●デジタル香港ドル試験運用プログラムに関する重要な洞察

 富邦銀行、リップル、Kodelab、TOKO、HexTRust、BWC、ストラトフォード・ファイナンスが協力して進めている革新的なプロジェクトからは、多くの重要な洞察が得られた。

・トークン化不動産エクイティ需要への対応:香港の消費者の間には、不動産エクイティを流動性資産に転換したいという大きな需要がある
・相互運用可能なトークン化:デジタル香港ドルは取引の円滑化を図り、融資実行における摩擦やリスクを軽減する
・商業銀行の権限強化:商業銀行は融資プロトコルを効果的に設定、管理、監視できる
・抵当権のトークン化:住宅ローンの抵当権をトークン化することは、閉ざされたエコシステムの中でのより幅広い不動産証書のトークン化に向けた極めて重要なステップとなる
・CBDCモデルの柔軟性:HELOCのユースケースは、経済・政策的考慮に順応しながら、さまざまなCBDC発行モデルで展開される可能性がある。

●未来を模索

 現在進行中の試験運用プロジェクトは、実用的な不動産のトークン化とHELOCのユースケースの開発に重点を置いており、調査結果に基づいてその規模を拡大する計画だ。予想される今後の進展としては、完全な不動産権利証書のトークン化、より幅広い融資市場への試験運用の拡張、国際的なアプリケーションの探求などが考えられる。

 リップルと富邦銀行は、専門的なパートナー企業とともに、トークン化された不動産を通じて、国境や制限を超えた普遍的な流動性アクセスへの道を切り開こうとしている。

(イメージ写真提供:123RF)

https://ripple.com/insights/exploring-home-equity-lending-and-settlement-with-cbdcs/

This story originally appeared on Ripple Insights.

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