取引所トークンへの投資家の信頼が回復、ＦＴＸ事件の影響を克服

　暗号資産（仮想通貨）取引所トークンが回復している。ＦＴＸ事件による安値から反転し、強気相場が続く中で高値を更新している。

　これらのトークンに対する投資家の信頼は復活しており、バイナンスのバイナンスコイン（ＢＮＢ）やＯＫＸのＯＫＢ（ＯＫＢ）が大きく上昇していることが、その顕著な例だ。

　中央集権型組織が発行する取引所トークンは、取引上の優位性、ガス手数料支払い、取引所作成ブロックチェーン上のＤｅＦｉ（分散型金融）活動への参加といった、取引所における様々な利益をユーザーに提供する。

　また、一部のトークンでは、プラットフォーム上のガバナンス活動にユーザーが参加できる。

●バイナンスコインはＦＴＸ事件から３２％上昇

　バイナンスのネイティブ取引所トークンであるバイナンスコインは、現在１ＢＮＢ＝３５４ドルで取引されており、ＦＴＸの破産宣言が暗号資産取引所エコシステムに衝撃を与えた２２年１１月から３２％上昇している。

　さらに、バイナンスコインは、同取引所に対するＤＯＪ（米司法省）による捜査やＳＥＣ（米証券取引委員会）による訴訟に関するニュースが出た２３年６月に記録した高値を更新している。

　ＤＯＪとは和解に達したが、ＳＥＣとの訴訟は未だ続いている。

　同様に、ＯＫＸのネイティブ取引所トークンであるＯＫＢは目覚ましい回復を見せており、ＦＴＸによる安値から１３２％急騰して１９年５月の発行以来３２２７％上昇している。

　ＯＫＢは１月２５日に瞬間的に暴落し、数分間で６５億ドル近くが失われた。

　しかし、同トークンはすぐに回復し、最高値を更新した。

　この暴落は、一時的な売りがＯＫＸプラットフォーム上でのレバレッジのかかった清算に繋がったことで引き起こされた。

　ＯＫＸはこの件の責任を取り、エアドロップを通じて影響を受けたユーザーに補償した。

　さらに、ビットゲットのビットゲット・トークン（ＢＧＢ）は、１ＢＧＢ＝１．０３ドルの史上最高値に上昇し、年間上昇率は１５９％となった。

　ビットゲットは２３年９月、ブロックチェ―ン、ＡＩ（人工知能）、ウェブ３プロジェクトを支援する「エンパワーＸ」という１億ドルのファンドを約束した。

　規制の変化と共に中央集権型取引所の状況が変容する中、同取引所は、投資、合併、買収の増加を予想している。

●ＦＴＸのＦＴＸトークンは下落継続

　これとは対照的に、ＦＴＸのＦＴＸトークン（ＦＴＴ）は大幅に下落しており、破産前の高値から９０％超の価値を失った。

　ＦＴＸは、破産費用を除いた顧客への全額返金を目指しているが、取引所の活動は再開しない予定だ。

　同取引所は最近、ＡＩ新興企業のアンソロピック・ホールディングスの株式８％を売却する許可を求めた。

　ＦＴＸの現ＣＥＯ（最高経営責任者）が提出した申立ての中で、同取引所は株式売却の許可を求め、競売とプライベート・セールという２つの手続きを提案した。

　また、同取引所は異議申立期間の短縮も求めており、審議手続を迅速化するため２２日に審理を予定している。

　アンソロピックの株式の正確な価格は書類から削除されている。ＦＴＸの弁護団が、これを公開することで株式へのより高額な入札を得る可能性が阻害される恐れがあると考えているためだ。

　ＦＴＸは２月、デラウェア州裁判所に対し、破産したデジタル金融サービス会社ジェネシス・グローバル・キャピタルへの１億７５００万ドルの債権の売却を申し立てた。

（イメージ写真提供：１２３ＲＦ）

This story originally appeared on cryptonews.com.